目覚まし無しでも決まった時間に目が覚める。
本を読み進むペースが以前より遅くなった。
テレビを視るよりラジオを聴く時間が増えた。
人と衝突することがずいぶんと減った......等々。
自分自身の変化が冷静に見られるようになった、
2023年はそんな年でもありました。
良いのか、そうでないのかは分かりませんが。

年の瀬、お詣りに寄った京都・東山からのぼる今年最後の満月。
カメラを覗きながら、思い返す事はあれもこれも。
きょう(30日)は仕事納めのニュース当番。
皆様、どうぞ良いお年を。
サインの列に並んだのは、生まれて初めての経験だった。
15分ほど待っただろうか。私の手から受け取った著書に
その人は肉厚の万年筆でゆっくりと文字を書いた。
大柄な体躯と似つかず、驚くほど丁寧な、美しい文字だった。

盛岡から長野に転居して間もなかった私がその話しをすると、
「盛岡ですか。競馬の街ですね」と彼は目をあげて微笑んだ。
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伊集院静さん。私がこよなく愛し尊敬する作家と
たった一度、直接言葉を交わした23年前のあの日。
無類のギャンブラーであり、酒豪であり、切ない人の背中を
そっと押してくれるような優しい文章を書く人だった。
✤
「小説を読んでいますか?」
直球な問い掛けに、私は「はい」としか答えられなかった。
「いい小説をたくさん読んで下さい。きょうは有難う」
あの声を、笑顔を思い返しながら、今夜は何を読もうか。

家の周りや田畑の冬支度を始めたお宅も多いのでは。
こんな風景もそこかしこで見られる時季ですね。
これってクマの大好物。そう、ドングリも。

クマ出没が相次ぐ中、先日取材で訪ねた信濃町では、
生活道路からほんの50m足らずの藪に仕掛けたおりに、
成獣のクマ1頭が入りました。
最近では人の日常環境が、実はクマを呼び寄せている?
との指摘もあり要注意なんです。

【出没地点周辺を撮影するHディレクター/信濃町野尻山桑】
県の専門員が教えてくれるポイントを幾つか。
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●家や畑周りに野菜くずや収穫残しを放置しない
●収穫しない果樹(柿の木など)は、できれば伐採を
●草丈の低い(60CM程度)の藪でも仮払う
✤
嗅覚の鋭いクマは、わずかな匂いも嗅ぎつけ
民家の近くに降りてきてしまうんだとか。
匂いがしなければ家周りの野菜などを狙うこともなく、
身を隠せる藪がなければ里へは近付かないと考えられます。
「バッタリ会ったりしない」ためにも、
出来ることから対策を、ですね。
このところ、休日のニュース当番の合間を見ては
少しずつ読んでいるのが「怪談 牡丹燈籠」(岩波文庫)。
江戸末期から明治にまたがって活躍した名落語家、
三遊亭圓朝が遺した幽霊怪談の傑作です。

YouTubeで配信中の「アナウンサーが読む怖い話」で
私自身が朗読しようと考えている第3弾が、実はこれなのです。
映画やドラマで何作も観てはいるものの、原文で読むと
いや、実に怖い。これぞ言葉の力というか魔力というか。
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がしかし、ひとつ困ったことがあります。
あの女幽霊が恋する侍を呼ぶ「進三郎さま~」の声色が、
どうも私には......。艶というか色気と言うか、
うーん、どうやっても出せないのです、はい。
若者が集まる渋谷でも、お洒落な銀座でもない。
東京に住んだ学生の頃から私が好んで歩き回ったのが、
上野、浅草、日本橋あたりの、いわゆる下町界隈だった。
そこは100年前の震災で甚大な犠牲を出した地域でもある。



長野市内で見つかった関東大震災の写真50枚を取材する機会を得た。
その1枚1枚の鮮明さに、まず驚いた。
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ここがあの橋?あの交差点か?
取材でお借りした写真の細部を、自分の記憶と重ね合わせながら
何度も何度も見返してみる。
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長野市出身の写真家(当時22歳)が残した貴重な記録から、
その価値を読み解いてみる。今夕の「news every.」で。